プロジェクト

講演会・研究会

12.WINEオンライン講演会「歴史と法:歴史修正主義的な言説とどう向き合うか」(第9回研究会)

日時 2021年12月19日(日)14:00~17:00
場所 Zoomウェビナーによるオンライン講演会(下記の申し込み方法を参照)
開会の辞・注意事項 中澤達哉 WINE所長(早稲田大学)
講演者・講演題目

武井彩佳(学習院女子大学・WINE招聘研究員)

「歴史と法:歴史修正主義的な言説とどう向き合うか」

コメンテーター

小野寺拓也(東京外国語大)WINE招聘研究員

三ツ井崇(東京大)WINE招聘研究員

申し込み方法
参加については事前登録制を設けます。
登録情報に基づき、 主催者からZoomの招待を致します。
以下のGoogleフォームから参加登録いただけますと幸いです。
https://forms.gle/qsTcv9fe8uyESX7A6
使用言語 日本語

11.第1回WINE若手研究者研究発表会(Young Researcher Meeting)(第8回研究会)

日時 2021年9月18日(土)13:00~17:00
場所 Zoomミーティングによるオンライン研究会(下記の申し込み方法を参照)
開会の辞 中澤達哉 WINE所長(早稲田大学)
報告者・報告題目

白川太郎(早稲田大学大学院博士課程)

「宗派史から国民史へ? 19世紀ヴァルド派の歴史叙述とそのイタリア化」

吉田眞生子(早稲田大学大学院博士課程)

「19世紀における「フィンランド国民」概念形成」 

奥田弦希(東京大学大学院博士課程)

「二重制下ハプスブルク帝国の対ムスリム政策: 1912年イスラーム教法の法案作成過程を中心に」

宇野真佑子(東京大学大学院博士課程)

「体制転換期クロアチアにおける第二次世界大戦をめぐる記憶の政治―「国民的和解」と「市民的和解」を中心に」

樋浦ゆりあ(一橋大学大学院修士課程) 

「ミックス・多人種系からみる「アメリカ人」の国民形成―国勢調査における「混血」「ミックス」の数え方」 

コメンテーター

白川報告に対するコメント:小山哲(京都大)

・吉田報告に対するコメント:青島陽子(北海道大)WINE招聘研究員

・奥田報告に対するコメント:小沢弘明(千葉大)WINE招聘研究員

・宇野報告に対するコメント:小田原琳(東京外大)WINE招聘研究員

・樋浦報告に対するコメント:武井彩佳(学習院女子大)WINE招聘研究員

申し込み方法
参加については事前登録制を設けます。
登録情報に基づき、 主催者からZoomの招待を致します。
以下のGoogleフォームから参加登録いただけますと幸いです。
https://forms.gle/FVRBzWP33yGqitHe6
使用言語 日本語

10.WINE若手研究者研究発表会(Young Researcher Meeting)発表者公募のお知らせ 

趣旨

 早稲田大学ナショナリズム・エスニシティ研究所(WINE)は、2021年9月18日と2022年3月15日に、国民形成・ナショナリズム・エスニシティ等の歴史を専門とする若手研究者による研究発表会をオンラインにて開催します。若手の皆さんにあっては、コロナ禍の中、研究を遂行するにはあまりに大変な状況に直面されていると思います。私共は以前から、皆さんが研究成果を披露し、少しでも研究業績を積むことのできる場を設けたいと思っておりました。

 WINEは、国民形成・ナショナリズム・エスニシティという共通テーマを重視しており、特定の地域に研究を限定していません。日・東・西の枠に縛られず応募下さい。応募者数に応じて発表方式を決めますが、応募時に提出頂く報告概要(800字)も考慮し、報告の可否や時期を決定致します。当面は日本語による報告を想定しています。

 報告テーマとしては、国民形成と伝統、帝国論、記憶論、包摂と排除、アイデンティティ、ジェンダー、ナショナル・インディファレンス、レイシャル・キャピタリズム等々が想定されますが、同時代の他の社会編成原理や前近代制度・思想への着目による従来のナショナル・ヒストリーの相対化も大いに歓迎します。WINEの設立趣旨と同様、構築主義や本質主義に代わる新たな方法的転回を図ろうとする研究も積極的に求めます

 現状では、⑴報告者10名以下の場合、20分程度の報告→おもにWINE所員を中心とする専門分野のメンターによるコメント・質疑応答。⑵10名以上の場合、数分のショートプレゼン→専門分野のメンターによるコメントを想定しています。かなりの人数になる場合、同時刻に複数のブレイクアウトルームを設置し並行開催します。

 大変充実した報告をされた方には、後日、改めて長時間の報告の機会を提供させて頂くほか、今後のWINE主催国際シンポや内外の国際会議・若手研究者セッションなどでの報告をWINEから打診致します。ご検討頂けると幸いです。

 YRMを研究業績を積む場としつつ、専門分野を同じくする研究者から直接コメントやアドバイスをもらい、ぜひ今後の研究に役立てて頂きたいと思います

日時

第1回:2021年9月18日(土)13:00~16:30

第2回:2022年3月15日(火)13:00~16:30

場所 Zoomによるオンライン研究発表会(下記の申し込み方法を参照)
対象 若手研究者(大学院生、ポストドクター、その他*。*様々なケースが想定されます。ご相談を)
報告時間

・10名程度の報告者の場合20分(これとは別にコメント+質疑応答10分) ・10名以上なら5分のショートプレゼン(これとは別にコメント+質疑応答10分)

申し込み方法

研究発表は公募と致します。以下のGoogleフォームから登録頂くと幸いです。
https://forms.gle/V8PGNB2BfpCdvoWj9

エントリー締切は、2021年8月22日(日)17時厳守のこと

使用言語 当面は日本語
企画・問い合わせ 中澤達哉(所長)・小沢弘明(招聘研究員)

9.WINEオンライン・シンポジウム「帝政期ドイツの国民形成・国家形成・ナショナリズム」(第7回研究会)

日時 2021年7月3日(土)13:00~16:30
場所 Zoomによるオンラインシンポジウム(下記の申し込み方法を参照)
開会の辞 中澤達哉 WINE所長(早稲田大学)
報告者・報告題目

・西山暁義(共立女子大学)

「ドイツ帝国をめぐるナショナルとトランスナショナル」

・小原淳 WINE学内研究員(早稲田大学)

「ドイツ帝国を再考する―それは「権威主義的国民国家」だったのか」

コメンテーター

・篠原琢 WINE招聘研究員(東京外国語大学)

・森田直子(立正大学)

申し込み方法
参加については事前登録制を設けます。
登録情報に基づき、 主催者からZoomの招待を致します。
以下のGoogleフォームから参加登録いただけますと幸いです。
https://forms.gle/VMKNAcqGgGrUeJGQ9
使用言語 日本語

8.関連研究会 : 2021年度歴史学研究会大会・合同部会シンポジウム「「主権国家」再考 Part 4-国民国家の再点検」

日時 2021年5月22日(土)13:00~17:00
場所 Zoomによるオンラインシンポジウム(下記の申し込み方法を参照)
主旨説明

・中澤達哉 WINE所長(早稲田大学)

 主権国家第二期にあたる国民国家は言われるほどに強大な統治機構であったのだろうか。こうした問題意識をもつ合同部会「主権国家」再考Part4―国民国家の再点検―」は,2018年以来継続的に取り組んできた「「主権国家」再考」シリーズの最終回となる。2018年の第1回目は,ユーラシア西部の近世に焦点を当て,近年登場した複合国家論・複合王政論・礫岩国家論の知見をもとに,ヨーロッパにさえ従来のボダン型の主権国家論が適用できないことを確認した。2019年の第2回目は,アジアに視野を広げ,主権国家論の発生要因と世界的浸透を翻訳の観点から問い直した。これに対して,昨年の第3回目は,ユーラシア中・東部を射程に入れ,主権の概念と地方官吏による統治の実態を比較の補助線とし,ブリテン・ロシア・清という近代帝国を,集権化ではなく「近世的集塊の整序」(対外主権の可塑性,対内主権の重層性)という観点から再考した。こうして,従来の強固な近代帝国像は相対化され,近世帝国の緩やかな統治方法が継続していたことが改めて確認された。
 2021年度の第4回目は以上の問題関心を引き継ぎつつ,第3回目に検討の必要が確認された「帝国と国民国家の相互浸潤」を念頭に置く。ウェストファリア型の主権国家の存在を前提とした従来の近代帝国像が相対化されたのであれば,近代国民国家像も相応の変化を被るはずである。1990年代に国民国家論として一時期流行となったE・ゲルナー,B・アンダーソン,E・ホブズボームらの構築主義ですら,「怪物」のような国民国家像を前提に近代史を叙述した。構築主義による歴史理解の影響は甚大で,以後の近代史研究は国民を構築する統治機構としての国民国家の強権ぶりを必要以上に誇張してはいなかっただろうか。社会史研究においてすら,大衆は国民化されるだけの客体として認識される傾向が強くなかっただろうか。
 「帝国と国民国家の相互浸潤」を問題とするとき,ハプスブルク帝国とオスマン帝国は貴重な検証の素材となる。19世紀後半以降,帝国は近代化の行為主体となったことで,帝国統治の正統性や方法は変化した。特にハプスブルク帝国史では従来,新たに成長しつつあった国民主義は,帝国と対峙しながら対抗的に形成されるものとして理解されてきた。さらに,第一次世界大戦による帝国崩壊を受けて国民国家が成立したという,単線的なナラティブも構築された。以上の伝統的な史学状況に対して,本部会は従来の認識をいったん相対化する。近代化する帝国が統治方法を変化させる中で国民主義を生み,これを統治に積極的に編入しようと試みていたという事実を重視したい。なにより,そうした観点から統治の実相に迫ってみたい。
 この問題意識の下,本部会は以下の2報告を用意した。篠原琢報告「ネイションの自然権から歴史的権利へ―フランチシェク・パラツキーのハプスブルク帝国国制論―」は,P・ジャドソンのハプスブルク帝国論を踏まえつつ,ボヘミアの主権論を起点に検討する。その上で,「帝国後」の諸国家を,かつての帝国統治の様式を内在化させた「小さな帝国」群として連続性の下に捉える。篠原によれば,チェコスロヴァキアなどの継承諸国は,国民国家との自己規定をしながら,旧帝国の中心・辺境という構成を積極的に継承し,再生産していく機構であった。藤波伸嘉報告「カリフなき世界の共和国―オスマン法からトルコ法へ―」は,帝国や法をめぐる従来の研究動向の中に近代オスマン史研究を位置づけつつ,帝国後のトルコ共和国における法学史叙述の特徴を当時の諸著作に即して分析する。これによって,同時代の他地域の事例との比較の糸口を提供する。帝国後を含む,ハプスブルクとオスマンの共通点と相違点を見定める基軸となる。
 以上の2報告に対して,スロヴァキア史の中澤達哉,イタリア史の小田原琳,さらにアメリカ史の石川敬史がコメンテーターとして各専門の地域と時代から両報告を架橋することで,「国民国家の再点検」の議論を深化させる。以上の営為は,一方で「長い近世」の射程を論じることにもなろう。帝国支配が,地域・身分・住民集団に応じて,状況依存的に多様な統治様式を組み合わせて実現したことは,複合国家論や礫岩国家論を中心とするヨーロッパ近世国家史研究に基づく昨年の本部会が示唆している。「帝国と国民国家の相互浸潤」は,複合的構成を持つ近世国家の「整序」という,より大きな歴史の枠組みで捉えることを可能とするのだろうか。(中澤達哉)
[参考文献]
・篠原琢「国民が自らの手で!―チェコ国民劇場の建設運動―」篠原琢・中澤達哉編『ハプスブルク帝国政治文化史―継承される正統性―』昭和堂,2012年,183-240頁。
・同「「名前のないくに」―「小さな帝国」チェコスロヴァキアの辺境支配―」大津留厚編『民族自決」という幻影―ハプスブルク帝国の崩壊と新生諸国家の成立―』昭和堂,2020年,109-145頁。
・藤波伸嘉『オスマン帝国と立憲政―青年トルコ革命における政治,宗教,共同体―』名古屋大学出版会,2011年。
・同「主権と宗主権のあいだ―近代オスマンの国制と外交―」岡本隆司編『宗主権の世界史―東西アジアの近代と翻訳概念―』名古屋大学出版会,2014年,49-87頁。
・中澤達哉『近代スロヴァキア国民形成思想史研究―「歴史なき民」の近代国民法人説―』刀水書房,2009年。
・同「二重制の帝国から「二重制の共和国」と「王冠を戴く共和国」へ」池田嘉郎編『第一次世界大戦と帝国の遺産』山川出版社,2014年,135-165頁。
・小田原琳「「南部」とは何か?―南部問題論における国家と社会―」北村暁夫・小谷眞男編『イタリア国民国家の形成―自由主義期の国家と社会―』日本経済評論社,2010年,197-217頁。
・同 “Violence against Women and the Racist Discourse during the WWI in Italy”,『クァドランテ』第19号,2017年,9-16頁。
・石川敬史『アメリカ連邦政府の思想的基礎―ジョン・アダムズの中央政府論―』溪水社,2008年。
・同「アメリカ革命期における主権の不可視性」『年報政治学』2019-Ⅰ,2019年,96-116頁。

報告者・報告題目

・篠原琢 WINE招聘研究員(東京外国語大学)

「ネイションの自然権から歴史的権利へ
 -フランチシェク・パラツキーのハプスブルク帝国国制論-

・ 藤波伸嘉(津田塾大学)

「カリフなき世界の共和国 -オスマン法からトルコ法へ―」

コメンテーター

・中澤達哉 WIN所長(早稲田大学)

・小田原琳 WINE招聘研究員(東京外国語大学)

・石川敬史(帝京大学)

申し込み方法
以下のGoogleフォームから参加登録いただけますと幸いです。
https://forms.gle/newfvDJuZUSyjKm56
使用言語 日本語

7.WINEオンライン講演会「移民国家アメリカの歴史研究とナショナリズムの問題」~Black Lives Matter運動とトランプ時代のアメリカを理解する一助のために~(第6回研究会)

日時 2021年3月6日(土)14:00~17:00
場所 Zoomによるオンラインシンポジウム(下記の申し込み方法を参照)
開会の辞 中澤達哉 WINE所長(早稲田大学)
講演者・講演題目

貴堂嘉之 WINE招聘研究員「移民国家アメリカの歴史研究とナショナリズムの問題」(一橋大学)

討論者

小沢弘明 WINE招聘研究員(千葉大学)

申し込み方法
参加については事前登録制を設けます。
登録情報に基づき、 主催者からZoomの招待を致します。
以下のGoogleフォームから参加登録いただけますと幸いです。
https://forms.gle/cVcaHAzi32dNQdoEA
使用言語 日本語

6.WINEオンライン・シンポジウム「文化人類学からみたナショナル・インディファレンス:文化人類学と歴史学の対話」(第5回研究会)

日時 2020年12月20日(日)14:00~17:00
場所 Zoomによるオンラインシンポジウム(下記の申し込み方法を参照)
開会の辞 中澤達哉 WINE所長(早稲田大学)
報告者・報告題目

・神原ゆうこ WINE招聘研究員(北九州市立大学)

「文化人類学と『民族』との距離:民族学の時代のあとのエスニック・マイノリティ研究の立場から」

・松前もゆる WINE学内研究員(早稲田大学)

エスニシティを問うことの学問的および個人的ジレンマ:現代ブルガリアにおける日常の文脈から

コメンテーター

・黛秋津 WINE招聘研究員(東京大学)

・古川高子(東京外国語大学)

申し込み方法
参加については事前登録制を設けます。
登録情報に基づき、 主催者からZoomの招待を致します。
以下のGoogleフォームから参加登録いただけますと幸いです。
https://forms.gle/sTBUFVJ9LW9SCUrV8
使用言語 日本語

5.関連研究会 : 2020年度歴史学研究会大会・合同部会シンポジウム「「主権国家」再考 Part 3-帝国論の再定位」

日時 2020年11月29日(日)14:00~17:30
場所 Zoomによるオンラインシンポジウム(下記の申し込み方法を参照)
主旨説明

中澤達哉 WINE所長(早稲田大学)

 20世紀末までに、ヨーロッパ近世の主権国家像は大いに更新された。1975年のH・ケーニヒスバーガによる複合国家論がその嚆矢となり、92年にJ・エリオットの複合王政論、98年にはH・グスタフソンの礫岩国家論が続いた。79年の二宮宏之の社団的編成論もこの潮流に付け加えねばならない。これらの一連の研究を通じて、君主のもと税制・軍制・官僚制によって中央集権化を進め、対内的に排他的な管轄権を有し、対外的には自律性を保持した主権国家群が成立したとする、従来の絶対主義的な近世国家のイメージは、ほぼ相対化されたといえよう。こうした新たな研究は、ヨーロッパ近世を、一人の君主支配のもとに様々な属性をもった複数の地域からなる「集塊的国家」が形成された時代として把握し直した。君主による排他的な支配ではなく、「王と政治的共同体の支配」とも呼ばれる近世の重層的な統治の実態に着目したのである。    

 ここで近年の歴史研究者にとって新たな関心の対象になっているのが、近代の帝国の捉え直しである。君主が複数の国家や地域の合従連衡のうえに緩やかに君臨していたとする近世国家像が提示されたのであれば、当然ながら、旧来の近世国家認識を前提に近代の諸帝国を検証してきた近代史研究も相応に変容せざるを得ないのではないか。というのも、かつてのレーニンやJ・A・ホブスンの帝国研究は、以下の歴史上の帝国の多様な像を区別しないまま、次の①に特化して帝国を論じる傾向があった。①植民地化・資本主義化・住民の大量移動にみるような、無制限の拡大や増殖を伴う近現代の独占資本主義国家の支配域、②-a一つの公共体としてのキリスト教国家Respublica Christianaの存在を前提に、個別統治権(magistratus)を神の秩序に由来する固有の権限として承認する秩序体系としてのインペリウム(至高権・命令権・最高権)とこれが行使される圏域。②-b「君主と政治的共同体の支配」構造をもつ、複数の国家・地域間の合意・合従連衡に基づくインペリウム(imperium至高権・命令権・最高権)とその広域的・礫岩的統治領域。これらのインペリウムは、③ボダンによってあらゆる統治権の権源として把握された君主がもつマイェスタース(majestas至高権・絶対的統治権)と明らかに対立するものの、日本語では両者は(中近世ヨーロッパ君主権の微妙な差異を抹消して)一元的に「主権」と訳される傾向があった。さらに、「主権」は、③から市民革命と国民国家形成を経て①への移行が説明されることで、18世紀末—20世紀前半の主権国家第二期に全盛を迎えるとさえ考えられた。ここでは明らかに、上記②a-bのインペリウムを念頭に置く帝国論が欠落していることが分かる。2000年代にブーム化したA・ネグリとM・ハートのソフトなネットワーク帝国論も、近世国家史研究の主権国家批判から発せられている重厚な問いに応答していないというのが現状である。    

 以上の理由から、本シンポジウムは、「「主権国家」再考Part 3―帝国論の再定位」をタイトルに掲げた。これは、2018年度の「「主権国家」再考」と2019年度の「「主権国家」再考Part 2―翻訳される主権」の問題意識を深めるものである。一昨年は、ユーラシア北西部にあたるヨーロッパの文脈から近世国家の多様性(imperium, majestas, souverainité)を詳らかにすることによって、従来の主権国家像の相対化を図った。16—17世紀ヨーロッパにすら、至高権をもつボダン型の主権国家は存在しない。これに対して昨年は、検討の対象を空間的にも時間的にも拡張し、19世紀のユーラシア東部・アジアにおける主権概念の拡大と変容にかかわる問題を視野に入れた。その際、目下、相対化されつつある近世ヨーロッパの主権概念と近代アジアに拡大された主権概念との相応を「翻訳」という観点から考え、その複眼をもって、主権を改めて捉え直すことを目的とした。この2年間の研究を通じて、いずれ現実のものとなる主権国家第二期の近代帝国が世界的に拡大したことの根拠とそれが孕む問題性を見極めつつ、従来の帝国像を近世史の成果を踏まえて再検討し、帝国論を再定位することの必要性が確認されたのである。    

 さて、ヨーロッパの視点に立つならば、近世複合国家を起点に近代帝国を再考する際の出発点となるのが、「近世的集塊の整序」という見方である。これはあくまで「整序」であり、集権化や市民革命による「解消」ではない。近世複合国家が近代を迎える頃、18世紀の自然権や人権、民族や人種概念の導入を受け、近世秩序の抜本的な整序が必須となっていた。国家構造の改編にあたって、統治の正統性や構造がどう変わり、統治の実態がどのように変わったのだろうか。以上は、ともすると、ヨーロッパ近世史研究の変化を踏まえた、ユーラシア北西部に特有な語彙と概念に基づく近代史への問い立てになるのかもしれない。つまり、ユーラシアの中・東部ではこうした視点は共有できるのであろうか。ヨーロッパの帝国理解が変化するなかで、ユーラシアの帝国のイメージは総体としてどのように変わりうるのだろうか。  

 本シンポジウムでは、近代の帝国を便宜的に「君主たる皇帝が多民族・多宗教・多文化の多様な社会集団を統御しているインペリウムとその広域支配圏」と定義しよう。君主はどのような統治構造のもとどのように統治を貫徹しようとしていたのか。君主は自らの統治の正統性の創造に勤しむ一方、多様な領域を管轄するがゆえに、地方統治の末端では官吏が数多くの困難に直面していたはずである。したがって、それゆえに本シンポは帝国論の再定位に際しての検討対象を、①近世・近代帝国を構成する地域の変容を踏まえた「統治の構造」のほか、②統治の現場にあった地方官吏とその組織による「統治の実態」に定めたい。というのも、②の統治の実態を補助線にすれば、近世から近代にかけての帝国統治の複数の実態を実証的に比較することが可能になると考えるからである。そして、この問題を究明するための最適な素材が、帝国構成部分の変容や組替が行政上可視化されやすい陸続きの大陸帝国―ユーラシア中・東部にまたがるロシア帝国と大清帝国である。両国は絶対権力者たる皇帝が極めて広域の領域を統治してきたという意味で似通っている。    

 このような問題意識のもと、本シンポジウムは以下の二報告を用意した。杉山清彦報告「複合国家としての大清帝国―マンジュ(満洲)による集塊とその構造」は、近世ユーラシア東方の大国・清を取り上げ、中国王朝「清朝」としてではなく、それをもその一面とする、ユーラシア世界の「大清帝国」と捉えて、その複合的性格と統合のあり方について論じる。マンジュ人の皇帝が中国漢人社会とモンゴル=チベット仏教世界とを束ねるという構造の提示は、近世・近代の帝国論の再考と交叉するはずである。    

 一方、青島陽子報告「ロシア帝国:陸の巨大帝国と「不可分の国家」像」は、近代ロシアが多元的な社会を抱えつつも、帝政期の国法学者や官吏たちが「不可分の国家」という自己像を維持し続けたことに着目する。構造化されない、パーツに分割しえない、多元性に基づく国家の在り方を、現代ロシア史学の帝国論、帝政期の国法学、帝国西部諸県の事例研究を組み合わせながら、近代から近世への架橋を試みる。  

 以上の二報告に対し、ブリテン史と日本近代史のコメンテータ(稲垣春樹氏、松方冬子氏)が専門の地域と時代から両報告を架橋することで、帝国論の再定位に関する議論を深化させる。以上の営為は、将来的には、主権国家第二期における帝国の世界的拡大だけでなく帝国と国民国家の相互浸潤をも、西洋中心主義や従属論と異なる近世・近代国家史研究の視点から検証していく際の布石となるであろう。方法論的にも認識論的にも現代歴史学の新たな地平を拓くことに繋がるはずである。(中澤達哉)

報告者・報告題目

・杉山清彦(東京大学)

「複合国家としての大清帝国
 -マンジュ(満洲)による集塊とその変容-

・青島陽子 WINE招聘研究員(神戸大学)

「ロシア帝国-陸の巨大帝国と「不可分の国家」像-」

コメンテーター

・稲垣春樹(青山学院大学)

・松方冬子(東京大学)

申し込み方法
以下のGoogleフォームから参加登録いただけますと幸いです。
https://forms.gle/vfTfVtuowexg78Z3A
使用言語 日本語

4.WINEオンライン・シンポジウム「ナショナル・インディファレンス(national indifference)論を再考する」(第4回研究会)

日時 2020年7月18日(土)14:00~17:00
場所 Zoomによるオンラインシンポジウム(下記の申し込み方法を参照)
開会の辞 中澤達哉 WINE所長(早稲田大学)
報告者・報告題目

・中辻柚珠(京都大学大学院)

「ナショナル・インディファレンス研究が抱える混乱―課題と今後の展望」

・小田原琳 WINE招聘研究員(東京外国語大学)

記述と規範のあいだのナショナル・インディファレンス

コメンテーター

・井出匠 WINE招聘研究員(福井大学)

・篠原琢 WINE招聘研究員(東京外国語大学)

申し込み方法
参加については事前登録制を設けます。
登録情報に基づき、 主催者からZoomの招待を致します。
以下のGoogleフォームから参加登録いただけますと幸いです。
https://forms.gle/VugqGYqSQLq8Bbja6
使用言語 日本語

3.WINE緊急オンライン対談会「新型コロナウィルス感染症と国民国家/ナショナリズム」(第3回研究会)

日時 2020年6月27日(土)14:00~16:30
開催の趣旨 昨今のコロナ禍により、歴史学が大きな変容を迫られるのは必至です。そこで、本対談は、日本史・東洋史・西洋史の識者に、ご専門の実証研究をふまえつつ、コロナ禍中およびコロナ禍後の現代史歴史学に向け、新たな論点や視点を追加いただくことを趣旨と致します。これによって、歴史学の方法を再考し、歴史認識まで議論を展開できれば幸いです。
開会の挨拶と問題提起

中澤達哉 WINE所長(早稲田大学) 14:00~14:15

  「新型コロナウィルスの副作用としてのナショナリズム」

報告者・論点提示

池田嘉郎 WINE招聘研究員(東京大学) 14:15~14:30

  「コロナ禍の中の現代国民国家」

加藤陽子 (東京大学) 14:30~14:45

  「コロナ禍の世界が映し出した「神なき国」の近代と「社会」」

福士由紀 (東京都立大学) 14:45~15:00

  「中国の感染症とナショナリズム」

小沢弘明 WINE招聘研究員(千葉大学) 15:00~15:15

  「新自由主義下のCOVID-19」

・休憩 15:15~15:30 

・報告者間の対談・意見交換 15:30~16:30(予定)

(備考)適宜、質問へのリプライを含みます。若干、時間が前後することがあります。

開催方法

Zoomウェビナーによるオンライン対談会

申し込み方法
参加については事前登録制を設けます。
登録情報に基づき、 主催者からZoomの招待を致します。
以下のGoogleフォームから参加登録いただけますと幸いです。
https://forms.gle/kufcfN5VNtH2RJdB9
使用言語 日本語

2.開所記念講演(第2回研究会)

日時 2020年1月13日(祝)14:00~17:00
場所 早稲田大学文学部戸山キャンパス33号館16階第10会議室
講演者 篠原琢 招聘研究員(東京外国語大学教授)
講演題目 ハプスブルク帝国史研究とナショナリズムの問題
使用言語 日本語
懇親会 18:00~20:00

1.  開所記念講演(第1回研究会)

日時 2019年11月30日(土)14:00~17:00
場所 早稲田大学文学部戸山キャンパス33号館6階国際会議室
講演者 小沢弘明 招聘研究員(千葉大学副学長)
講演題目 歴史学におけるエトノスとエスニシティ
使用言語 日本語
懇親会 18:00~20:00

国際シンポジウム

工事中(2020年秋に開催予定です。詳細が決まり次第、アップします。)